リースバックって何?メリットとデメリットを解説!
住宅ローンが払えない時には任意売却という方法がありますが、売却後は家を手放さなければなりません。中には「売却後も家に住みたい」という方も多いのではないでしょうか?そんな方におすすめなのがリースバックです。今回はリースバックについて解説しますので、興味があればぜひ参考にしてみてください。
リースバックとは
リースバックは自宅を売却後も、家を手放すことなく住み続けられるサービスのことです。具体的には自宅の買主である不動産業者や個人投資家と賃貸契約を結び、毎月一定の家賃を支払うことで家に住み続ける仕組みとなっています。
リースバックは国土交通省の調査によると2016年~2018年の間で取引件数が3倍以上に増えているというデータや、新型コロナウイルスの感染拡大によって問い合わせが2倍に増えたという報告もあり、近年注目を集めるようになりました。
ちなみにリースバックがなぜ増えているのかといえば、収入が減って住宅ローンが支払えない方や、老後の生活に不安を抱える方が増えてきたためで、つまるところ経済状況の悪化が利用者の増加を招いているともいえます。
リースバックのメリット
リースバックの最大のメリットは売却後も家に住み続けられることです。任意売却であれば売却後は自宅を手放さなくてはなりませんが、リースバックであれば普段と同じ生活を送ることができます。
長年同じ家に住み続けていると愛着も湧くものですし、引越しの手間を考えると、負担の違いはいうまでもありません。それに以前と変わらない生活を送れるので、周囲に状況も気付かれません。ほかにもさまざまなメリットがあるので、詳しく解説します。
■まとまった資金がすぐに手に入る
通常の不動産売却だとさまざまな手続きと買主を探す手間が発生するため、売却完了するまで数か月かかることが一般的です。一方リースバックは不動産会社が直接買主となってくれるので、家を素早く売却できます。
また、リースバックには売却資金の使い道に制限がないことも特徴で、得たお金をローンの返済や病院の治療費、子どもの教育費や生活資金など好きな用途で使うことができます。
■税金の負担がない
マイホームの所有には固定資産税を支払う義務があるほか、災害や老朽化などのリスクに備えてメンテナンス費や修繕費など、さまざまなコストが必要になります。
一方でリースバックは毎月の家賃だけが負担となるため、固定資産税といった税金や、家のメンテンナンス費や修繕費も支払う必要もありません。そのため維持費の負担が軽くなり、また家賃だけなので支払いも分かりやすくなるのです。
■将来、家を買い戻すことも可能
通常の不動産売却であれば家を買い戻すことはほとんどできませんが、リースバックであれば一度売却した家を再び買い戻すこともできます。たとえば売却した家を買い戻すことを約束した「買戻し特約」を付けてくれる不動産会社もありますが、家賃滞納をすると買戻しの権利は消失してしまうのでご注意ください。
リースバックのデメリット
リースバックはあまり知名度も高くない仕組みのため、トラブルも多く報告されています。利用してから後悔しないためにも、ここでリースバックのデメリットについて解説していきます。
■売却額は市場価格よりも低く、家賃は高くなりやすい
リースバックの売却額は市場価格よりも低くなりやすく、相場の約7~8割程度でしか売却できません。ちなみに売却額が低くなる理由は、利用者が家賃を滞納する可能性や、最終的に家を手放した後の家のリフォーム代を差し引いているからです。
また、リースバックは家賃も高くなる傾向もあり、これはなぜかといえば家賃は周辺相場から決定されるのではなく、家の売却額によって決められているためです。具体的には売却額の8~12%が家賃の1年分と設定されており、例えば2,000万円で家が売れた場合、10%だと家賃は約16万円にもなります。
このようにリースバックは通常の不動産売却より安く売られてしまううえ、家賃も高く設定されてしまうので、くれぐれもご注意ください。
■いつまでも住めるわけではない
リースバックのもう1つの大きなデメリットは、いつまでも家に住めるわけではないことです。賃貸契約の多くは居住期間が2~3年しか認められない「定期借家契約」が多く、この期間を過ぎれば利用者は引越しをするか、家を買い戻さなくてはなりません。そのため「住める期間は2~3年のみ」ということを覚えておきましょう。
後々退去を命じられたとトラブルに発展する恐れがあります。それでも長く住みたいという方でしたら居住期間の定めがない「普通借家契約」が適していますので、契約内容は事前にしっかりとチェックしておきましょう。
どんな人におすすめなのか
リースバックにおすすめなのは「ローン返済に悩む人」「すぐにまとまった資金を手に入れたい人」です。リースバックは短期間で多くの資金を手にできるほか、使用用途も自由なのでローン返済に充てたり、入院費や治療費に使ったり、子どもがいれば教育費に使うこともできます。
実際にリースバックの利用者を対象としたアンケート調査でも、リースバックの目的で最も多かった回答が「ローン返済のため」という回答だったため、収入が減ってローンの支払いにお困りでしたら、検討してみる価値はあります。
ほかにもアンケート調査によれば「老後の資金確保のため」という回答や、「相続対策」という回答も多数占めていることから、「ゆとりのある老後を送りたい人」や、「相続人のために資金を現金化して、分割しやすくしたい人」にも向いています。
リースバックは売却した家を手放すことなく、家賃を買主に支払うことでそのまま住めるサービスです。家を手放したくない方はもちろん、引越しの手間を省けたり、生活状況を変える必要もなかったり、売却資金をローン返済に充てたりとさまざまなメリットがありますが、売却額は相場より低く、家賃は高い上にいつまでも住めるわけではないといったデメリットも多々あります。そのため利用の際には不動産会社とじっくり相談してから検討するようにしましょう。